漢字を覚える方法で、最もメジャーと言うかよくあるのが、何回も同じ漢字を書く方法。
「同じ漢字を5回ずつ書く」とか、宿題として出されることも多かったかと思います。これのせいで、手を真っ黒にした人も多いでしょう。
しかし、このやり方って、全然覚えられませんよね。これで覚えられるなら、ちゃんとみんな、テストで漢字が書けてるはずです。
でも、できてないってことは・・・
このやり方は、覚えられない人がほとんどなんです。
Contents
なぜ、何回書いても覚えられないのか
答えは単純です。ただ写しているからです。
人間、「写す」という行動をする際は、写すことにのみ集中しているため、それを覚えようとはしません。
典型的な例が「写経」です。
お経を何回書いても、覚えられません。ゆっくり書いても何回書いても、一緒です。
意味が分からないものを写したところで、それは写している以外の何物でもありません。頭も使ってません。
文字を写すために、一時記憶として脳には格納されますが、そこから短期記憶や長期記憶にいくことはありません。つまり、消えていきます。
しかし、逆に考えると、ここに覚えるためのヒントがあります。
- 何回書いても覚えられない→書く回数は関係ない
- 写すというやり方では覚えられない→写さない
- 意味が分からないので頭を使わない→頭を使うようにする
この3つです。
まとめると、この方法にたどり着きます
写さず、考えながら、1回だけ書く
写さず、意味を考え、1回だけ書く。これで覚えられます。
こう書くと非常に簡単そうに見えますが、実際のところ、ただ写すのとは大きな差があります。
コツは、脳への刺激。如何に考えさせるか、です。
「写す」がダメな理由
漢字の書き取りの宿題(何回も書く場合)で一番ダメなのは、単純にそれが「写す」という行動だからです。
本来、「書く」という行動は、脳からのアウトプットなので頭を使いますし、勉強法の一つとしては非常に有用なものです。
しかし例外として、「写す」場合は、脳に入ったものを、そのままコピペしているだけなので、頭を使っていません。
「頭を使って書く」とは、「インプットした情報を、自分で考えて変換し、消化した上で、自分の言葉で出力する」という流れ。こうなって初めて、書くという行動が勉強として有用なものになります。
最初と最後だけ真似て「インプットした情報を、出力する」ってやったところでダメです。肝心なのは、「自分で考えて変換し、消化した上で、自分の言葉で」という部分ですからね。
「写す」は、言ってみれば、カンニングみたいなものです。カンニングやってて身につくなんて、変ですよね。
1回だけ書いて覚える、その具体的なやり方とコツ
まず、新しい漢字を見て、書き方、意味、読みを掴んで、写さず1回だけ書く。
・・・なんですが、これだけだと「いつもと一緒じゃん」って思っちゃいますよね。(^^;
この一番のポイントは、「写さず1回だけ書く」ことです。
1.まず、パーツに分けて読み込む
漢字は、書くことが重視されがちですが、その前にしっかり読むことがもっと大事です。
1回でクイズに正解するためには、書く前に、その漢字をよく見て、特徴を掴み、「これは問題に出てきても書ける」という状態まで持っていかなければなりません。手本を隠して頭の中で書いてみたり、そらで書いてみたりしながら、「よし、書ける」ってなるまで、書いてはいけません。
漢字を覚えるときは、全体像を見るのではなく、パーツに分解して、それぞれのパーツを覚えるのが近道です。
例えば、「尋」だったら、「ヨ、エ、ロ、寸」という風に分解します。そして「ヨエロすん」で覚える。
「潔」だったら、「さんずい、主、刀、糸」。(主はちょっと違うけど)
「裏」だったら、「亠、里、衣の下部分だけ」。
「傘」だったら、「人、人人人人、十」。
全体像で覚えようとすると「なんとなく分かるけど・・・」といううろ覚えになりがちです。これだと結局点数になりません。
パーツごとにきっちり覚える方が点数に繋がります。
2.1回だけ書く、その1回はテスト
漢字を1回書くその1回は、いわばテストと言うか、クイズのような状態です。ただ書くんじゃなく、考えて、解くんです。
「写さず1回だけ書く」とは、写さずノーヒントで「漢字クイズに1回目で答える」ということです。
これ、意外とハードです。その1回でクイズに正解するためには、先にしっかりと漢字を覚えないといけませんからね。
3.書くときは手本を見ない
そう、漢字を書くときは、手本となる漢字を見たらダメです。上にも書きましたが、テストですからね。
新しい漢字を見て、書き方、意味、読みを見て、次に漢字を書いてみる。この流れはいつもと一緒かと思いますが、書くときに手本の漢字(新しい漢字)を見てはいけないんです。
どんな勉強でもそうですが、答えを見ながら問題を解いても身につきません。答えがあるから書けているだけであって、実力ではないですよね。だから、書くときは、答えを見ない。これは絶対です。
何回も書き写してるときって、手本を見ながら、いわば答えを見ながら書いているんです。答えを見ながらってことは、頭を使ってないんです。覚えられるわけがありません。
よく、「書いてみて分からなかったら手本を見る」っていう人がいますが、それだと結局「手本見ないと書けない(=テストでは書けない)」ってことなので、「手本を絶対見ない」で書いてみた人とは、結果に大きな差が出ます。
4.覚えてから書くまでのインターバルを20分以上取る
慣れてきたら、「覚える段顔」と「書く段階」を切り分けましょう。
記憶には、一時記憶・短期記憶・長期記憶があり、長く覚えているためには長期記憶に入ってないといけません。
短期記憶と長期記憶の境目が20分なので、20分以上経ってからチェックしてみて、ちゃんと解ければ、「これは長期記憶に入っているからこの先もずっと解ける可能性が高いぞ!」と考えることができます。
もちろん、インターバルを取ったことで解けない問題も出てくるでしょうけど、それは短期記憶にしかなってなかったということです。覚え直しましょう。
こうやっていくことで、インプットの質が更に上がっていきます。
漢字の勉強で大事なのは、インプットの質を上げること
この「1回書いて覚える」やり方と、「何回も書く」やり方との大きな違いは、インプットの質です。1回だけ書く方が、質が大きく上がっているんです。(上げないと1回で書けませんからね)
漢字ってのは、「そのまま覚えるだけ」みたいに思われていることが多く、「書いて覚える」とか「写して覚える」としか教えられないなことが多々あります。
覚える際のインプットが軽視されています。その端的な例が「何回も書く」という宿題です。覚える段階(インプット)が軽視されている以上、覚えられないんです。
「一発で漢字を書く」というアウトプットをするためには、「ヒントなしで書けるようになる」だけの良質なインプットが必要です。だから、何回も書き写すという写すだけのアウトプットに時間をかけるんじゃなく、インプットにもっと時間を割きましょう。そっちの方が効率的ですし、同じ漢字を何回も書くみたいな、馬鹿らしいことをやらなくて済みます。
インプットの質を上げるのは、どんな勉強にも、どんな教科にも言えることですが、特に漢字においては、インプットの質の低い勉強法が横行しているのが事実です。
ちょっと工夫して質を上げるだけで、漢字のテストの結果は変わってきます。何回も書くという修行からも解放されます。
最初は難しいかもしれませんが、この「1回だけ書く」勉強法は、おすすめですよ。