科目の好き嫌い、得意不得意は誰にでもあると思いますが、特に多いのが数学。高校で文系・理系と分かれる際に「数学が苦手だから」と決め手にしている人も多いでしょう。
数学が苦手な人ってのは、大別して2種類あります。
- 計算問題ができない人
- 計算はできるけど文章問題ができない人
まぁこれだけです。
それぞれ、対処法が異なるので、まずはどちらなのかを見極めないといけません。
両方に該当すると思われる場合は、「計算問題ができない人」になります。て言うか、計算ができなければそもそも文章題もできないので・・・。
なお、「計算ができる」のレベルは、「ほぼ完璧にできる」というレベルです。
「たまに間違えるけど、何となくできる」って人は、「できない」だと思ってください。
数学苦手っていう人の大半は、前者です。計算がそもそもできてません。
数学はリカバリーが一番難しい
数学は、基本、小学校の算数からの積み上げであり、小学校から中学校にかけて、演習(問題集など)も山ほどやってきています。
他の教科、例えば英語は中学からですし、理科や地理歴史なんかも、ほぼ中学からの範囲です。ボリュームは、MAX3年分です。
しかし数学は、小学校で習ったものの上に、中学で習うことが積み上げられていきます。MAX9年分です。
どちらが挽回が容易か、ってなると、やっぱり短い方ですよね。積み上げ期間の長い数学は、挽回(リカバリー)が難しいんです。
数学は積み上げ式
数学は、下から上に実力を積み上げていく、塔を積み上げていくような感じです。小学校で習ったことをちゃんと分かってないと、中学校では確実に分からない、ってなります。
例えば、数学でグラフを書くといった場合は、下から
高校 | 三次関数のグラフ |
中3 | 二次関数のグラフ |
中2 | 一次関数のグラフ |
中1 | 比例定数が負の比例 |
小学校高学年 | 比例 |
小学校中学年 | 分数 |
このような積み上げになります。
一次関数のグラフを書こうとしたら、傾き(y=ax+bのa)は避けて通れないポイントです。この傾きは、まず、比例で変化の割合として出てきます。いわゆる比例定数です。比例定数が分かっていれば、傾きはすんなり分かるようになります。
また、傾きは、分数になることもあります。ここで、小学校で習った分数がちゃんと分かってないと、傾きが分数になった瞬間に「?」ってなります。
なので、一次関数のグラフを完璧にするためには、分数もきちんとできないとダメなんです。
「分数」と「比例」という土台があって初めて、その上に一次関数のグラフを積み上げることができます。分数も比例もできてなければ、一次関数のグラフを積み上げることはできません。
分数がサッパリの場合、一次関数で分数が出てきた瞬間、お手上げになりますからね。
そんなとき、一生懸命に一次関数をやっていても、分数ができるようになるわけではありません。分数ができない人は、分数をやり直すしかありません。
分数の計算ができなくて困るのは、グラフだけではありません。分数の入ったもの全般で困ったことになります。方程式、一次関数、二次方程式・・・。解けるわけがありません。
数学の点数を上げるためには、下から、つまり、昔習った小学校の範囲から、しっかり積み上げていかないと点数になりません。
また、一次関数のグラフが書けなければ、2次関数のグラフも書けないでしょう。
他の教科、例えば歴史なら、「江戸時代は分かるけど縄文時代は分からん」とかあるんですが、数学はそれがありません。「1次関数は分かるけど比例は分からん」って人はいませんからね。
数学は、そんな積み上げです。
小学校まで遡って復習する必要がある
数学は、苦手な分野だけをやっても解決しません。原因はもっと下の方、昔習ったところにあることがあります。そこまで遡る必要があります。
一次関数の直線のグラフが書けない人は、比例まで戻る必要があるかもしれません。比例が分からなければ、一次関数の理解は難しいでしょうからね。
もし、比例がわからなければ、小学校の比例のところからやり直しです。
数学苦手な人が点数を取るためには、今習っているところだけをやっても点数にならない可能性が高いんです。
昔の穴(分数とか)を先に埋めてからでないと、どれだけやっても点数上がりません。
分数を苦手にしている人は、まず分数から
「数学が苦手」の典型例が、分数です。苦手にしている人はほんとに多いでしょう。
しかし、分数は中学校以降で当然のように出ます。小学校で分数の四則計算(足し算・引き算・掛け算・割り算)を完璧にマスターしないと、中学校で必ずこけます。
分数は、小学校でしか習いませんが、中学校では当然のように、数学に分数が入ってきます。けど、中学校では分数の計算のやり方は教えてくれません。できるもの、として進んでいきます。
分数苦手な人は、分数が出た瞬間に、その問題はお手上げです。
小数は分かっても、分数がわからない、という子は多いです。
そして、その分からないまま、中学校に進み、そこでまた分数の計算に出会い、「なんとなくわかる」のまま、進んで行ってしまいます。
しかし、これはダメです。
なんとなくでもできるならいいじゃないか、と思われるかもしれませんが、なんとなく、ってことは、間違えることもあるんですよね。
本当にケアレスミス? なんとなくできる、の危険性
「計算問題でケアレスミスして間違えた」
よくある話ですが、それが本当に単純なケアレスミスなのか、それとも理解してないからのミスなのか、を見分けなければいけません。
ケアレスミスなのか勘違い(理解してない)なのか、の見極めです。
得てして、数学苦手な人ってのは、勘違い(理解してない)のをケアレスミスと決め込んで、勘違いをずっと延々と続けていく(=点数が取れない)って状態になっています。
ただ、理解していなくても解けてしまうことはあります。これで「できる」と勘違いしてしまうんでしょうけど・・・。
例えば分数の計算で、パッと見、問題が解けていても、
- 掛け算なのに、なぜか通分していたり、
- 足し算なのに、なぜか分母を掛けていたり。
という癖がある子は、できてないです。後で苦労します。
ケアレスミスとは、「+と×を見間違えた」とか、「15+28=33」とか、何でこれ間違えたんだろう、というようなものです。
何回も同じところで間違えるのは、ケアレスミスとは言いません。実力です。
たまたまやり方が合って、解けることもあります。それが結果として、解けたり解けなかったりになります。これが「なんとなくわかる」の正体です。
数学は、計算問題でも完璧が求められる
数学は、どんなに考え方が合っていても、途中で一つでも計算を間違えたら、ペケです。
短い計算問題も長い文章題も、その中で一つでもミスったらアウトです。最初から最後まで完璧にできて初めて、マルが当たります。
なので、「なんとなくできる」じゃダメです。途中どこかで間違える可能性が高いですからね。
99%合っていても、途中一つ間違えたらペケになるのが数学ですから、点数を取るためには、常に100%を意識しなければいけません。
点数を取るってことは、それだけ厳しくもあり、だからこそ、マルになったときの喜びが大きいんです。
昔習ったことは、学校では2度と教えてくれない
分数の計算があやしい、ってのは、「できない」のと同じです。
そして、「できない」まま進んだところで、いつか分数の計算ができるようになるわけではありません。
昔習ったところは、学校では2度とやりません。でも、テストでは問われます。だから、そこは自分で復習する以外に方法はありません。
どこかの段階で、自分で「できる」にしなければ」いけません。
分数の計算を苦手にしている人は、まず分数をマスターすることから始めましょう。
ま、これは数学に限った話ではありませんが。
計算は出来るけど文章題ができない人はどうするか
文章題は、小学校のときから既にやっています。「道のり・時間・速さ」の文章題は、何回も目にしたことがあるでしょう。
文章題ってのは、要するに「文章を数式に置き換えていく」というものです。
この、「文章を数式に置き換える」というのが文章題の難関です。式になってしまえば、あとはただの計算問題ですからね。
で、この「文章を数式にする」部分の難易度は、中1~中3で大して変わりません。どの学年においても、難しい文章題もあれば、簡単な文章題もあります。
その後の計算問題が、学年に応じて難しくなるだけです。1年なら方程式で解くような文章題しか出てきませんが、3年なら2次関数とか連立方程式で解くような文章題が出てきます。
難しい文章題、と言っても、日本語が難しくなるわけではありません。式を作るのが難しくなるだけです。
文章題を解けるようにするために
まず、計算問題ができることが大前提です。計算できない人は、まず計算をマスターしてからにしてください。
で、文章題を解けるようにするためにですが、これは単純に、「文章題を解きまくればいい」ってことになります。
ただ、教科書もあれば、プリントや、市販の問題集など、文章題ってのは山ほどあるので、全部やろうとしても終わりません。
やる問題集を決めて、その1冊だけきちんとやる、というので十分です。
文章題のパターンは、さほど多くありません。やったことのある文章題と似た問題であれば、初見でも解ける可能性は高いですし、初めてやるときに比べて早く解けます。
そして、難易度の高い文章題にどんどんチャレンジしていきましょう。普段解いている問題の難易度が高くなればなるほど、点数は容易に取れるようになります。
問題をやるときは本番を意識する
注意点としては、問題をやるときはノーヒントでやること。これ。本番ではヒントなんてありませんからね。
練習でできない人が、本番で急にできるなんてことはありません。練習でできたから、本番でもできるんです。
練習でノーヒントで解いておかないと、本番でできるかどうか不安じゃありませんか?
だから、普段の勉強から、問題を解くときは必ずノーヒントでやる癖をつけておきましょう。
問題をノーヒントでやってない人は、伸びない
答えやヒントをすぐに見ようとする人は、思ったように実力が身につかないので、苦労します。勉強しているのに点数が取れない、伸びない、って人は大抵これです。
勉強の目的は、本番で点数を取ることですから、目先の問題をヒント見ながらマルにしたところで大した意味はありません。本番のためにノーヒントでやるようにしましょう。
問題を解くときは、本番同様の環境にしないといけないので、ノーヒントでやるのは当然ですよ。
誰にも教えてもらわずに、ヒントを見ずに、自力で「ピーン」と来て解くのが一番です。本番は一人ですからね。
1つの文章題にかける時間は、最大で20分
一つの文章題にかける時間ですが、筆者は最大で20分までにしています。
初めて見る問題に対して、「これどうやって解くんだ?」と考える時間は必要です。ずーっと時間をかけていけば、もしかしたら思いつくかもしれません。
でも、時間は有限ですし、先にも進まないといけないので、何日もそこで止まるわけにはいきません。
じっくり考えて、20分以内にピンときて、解けたらそれでOKですが、もし20分経っても解けない、全く分からない場合は、学校の先生に聞くか、ヒントを見ます。
但し、分からないからといって、すぐにヒントを見るのはダメです。本番では、分からない問題が必ず出ますからね。考える力を磨くためにも、色んな角度から問題を見てみましょう。
「めっちゃ考えたけど、どーしても分からない」ってときだけ、教えてもらったり、ヒントを見るようにしましょう。
ヒントをもらって「わかった」ってなったら、20分以上インターバルを置いてから、再度その問題をやります。ここの20分は、短期記憶を消すためのインターバルです。
1つの問題が20分までの理由
筆者が決めている「1つの問題を考えるのは20分まで」というのは、東大の入試の数学が、文章題6問で120分(1問あたり20分)ということによります。(今は違うのかもしれませんが)
20分考えてピンと来なかったら、それ以上やってもダメだろう、ってことで20分にしてます。
計算問題ができない人は、文章題は後回しでいい
計算ができない人は、兎にも角にも計算問題だけやってください。文章題なんてやるだけ無駄です。後回しでいいです。文章題なんてのは、計算問題ができるようになってからでいいです。
文章題も、結局は計算問題になるんです。文章題を頑張って式にしたところで、その先の計算で間違えたら、ペケ。頑張っても、ペケにしかならないんだったら、やらなくていいです。
それよりも、計算問題でしっかり点数を取れるようにすることが先決です。それができたら、文章題も点数が取れるようになります。焦らずやりましょう。
できる、できないをハッキリと分ける
できないものはできない、と自分の実力を把握することはとても大事です。
中途半端に、「これはできるかも、たぶんできる」と思う方が危険です。いざやってみたらできない、ってパターンになりがちです。
できないものは、今はできない。だから、これからそこを勉強して、できるようにする。
これが勉強です。
できるところは、もうやらない
「できるところ」は、何回もやる必要はないです。できるんですから。できないところだけやればいいんです。
「できるところ」というのは、いわば「1+1=?」みたいなもんです。1+1は、できますよね。誰もが「できる」と自信持って言えるでしょう。
だったら、それを何回もやる必要は、無いでしょ?
自分にとっての「1+1」、「確実にできる」を増やしていく、それが数学の勉強です。
昔の苦手を埋めれば、自ずと点数が上がる
確実にできるようにするためには、遡った勉強が必須になることが多々あります。苦手にしている人は、まず昔の苦手から埋めていきましょう。
案外、今できない原因は昔の穴にあって、それが埋まったら、すぐできるようになった、ってことがありますからね。
今やっていることが、前より簡単に見えてきたらチャンス。できるようになる日は近いです。